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皆様こんにちは。山本薫です。いつもお読みくださりありがとうございます。長らくご無沙汰していたブログを久しぶりに書かせて頂きます。今回は次のコンサートのご案内をさせて下さい。

ミュンヘン近郊にニンフェンブルグ宮殿というバロック建築の荘厳なお城があります。この宮殿はバイエルン選帝侯マクシミリアン2世によって建てられ、かの有名なノイシュバンシュタイン城(白鳥城)を作ったルードヴィッヒ2世がここで生まれております。現在は一般公開されていますがヴィッテルスバッハ家の個人所有です。その宮殿内にあるヨハネスホールというところで、10月19日、19時より、ヴァイオリンとピアノのデュオリサイタルを開催いたします。
ピアノは現在日本で大活躍の武田美和子さん、桐朋学園大学で教鞭をとっておられます。彼女とは芸大も同期、その後留学先のミュンヘン音楽大学でも同期で、一緒に頑張って研鑽を積んだ仲間です。
プログラムは、モーツァルトのe-mollのソナタ、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ「春」、リストのカンパネラ、イザイのヴァイオリンソロソナタ5番、そしてウィエニアフスキーのグノーの「ファウスト」による華麗なファンタジーです。ドイツ音楽の王道ベートーヴェン「春」は日本でも良く演奏されますが、ドイツに実際長く住んでみると、冬があまりにも長く寒く暗いため、草木が芽を出す春をどれだけ待ちわびるか、春への願望、期待、希望の大きさを身にしみて感じます。ベートーヴェンの春への喜びが伝わる演奏ができたら、と思っています。また、リストやイザイ、ウィエニアフスキーではピアノやヴァイオリンの持つ美しい音色、技巧、華麗さが惜しみなく表現できたらと思います。
 
ドイツの秋は短く、冬への突入が早いので、その冬に入る前の10月のカラッと爽やかで、でも深い落ち着いた気持ちの良い夕べのひと時、豪華な中世の雰囲気醸し出す宮殿の中で、美しいドイツ音楽、また華麗な曲目の数々、ピアノとヴァイオリンの超絶技巧を楽しんでいただけたら嬉しく思います。
皆様お誘いの上是非、ニンフェンブルグ宮殿コンサートにお越し下さいませ。
 
チケットは ミュンヘン チケット、
までお問い合わせ下さいませ。 
 K&F Konzertmanagement: 
+49 8142 / 6523 162 
 
 
 
 
 
 
前回私をドイツに導いてくれたブラームスについて書き始めましたが、続きです。
ドイツに留学で来てまず最初に思ったのがドイツの気候。6月。日本では蒸し暑く雨模様が多い、でも夏に向かって明るい雰囲気(と私は思うのですが)、ドイツは重い雲に覆われた秋のような肌寒い日々。たまに太陽がかーっと照りつけますが変わりやすい天気で、すぐ空が雲いっぱいで薄暗くなり、ブラームスの重厚な憂鬱な物悲しい、でも希望の光をいつも心に持ち、この世とは思えない美しいメロディと和声が、気候にしっくりきました。“schwermütig ”ドイツにしかない言葉らしいですが、日本語訳すると、憂鬱な、という意味です。ただそこまで深刻な意味合いではなく、本当にドイツの気候そのもの、どこか物悲しく重苦しいという感じが気候から感じられ、特にドイツの中でも北の雨の多いハンブルグで育ったブラームスのハーモニーがしっくりきた瞬間でした。
明後日、ミュンヘン近郊で演奏するブラームスのソナタ一番は、“雨の歌”という副題がついていますが、これはブラームスの歌曲“雨の歌”のテーマが3楽章に使われているところからつきました。ピアノの連続する8分音符が雨のシトシト感を感じさせ、ヴァイオリンの美しいメロディはオペラのような派手さはなくとも、いえ、ないからこそ、心に沁みる、自分との対峙、心深いところの語りかけ、言葉だと思います。
 
実は私にとってこのソナタはさらに深い思い入れがあり、それは、オーストリアで行われたブラームス国際コンクールでこの曲を演奏してブラームス賞を頂いたからです。
ブラームスがこの1番のソナタを作曲したのはオーストリアのペルチャッハというスロベニアの国境に近い湖のほとりで、穏やかな自然に囲まれた場所です。ここでコンクールも行われ、審査員はオーストリア人、ドイツ人が軒並み連ね、私にとっては、ブラームスと同じ人種の人の前でブラームスを演奏して評価を貰うというのはとても勇気のいることでした。
 
ドイツの気候に触れ、ドイツ人と交流しドイツ語を学び、日本にいた時よりドイツに親近感を持った私ですが、実際コンクールでのブラームスは緊張しました。でも基本は人間の心は全世界通じるものがあり、ブラームスの曲を、歴史的貴重な資料ではなく、心の通った生きた言葉、気持ちとして演奏することを心がけ、ありがたくブラームス賞をいただけたことを嬉しく思っています。
 
6月28日19時より、コンサートでこのブラームスの1番のソナタ、雨の歌を演奏できることを本当に楽しみにしております。
ちなみに天気予報も”雨“だそうです。
お読みくださりありがとうございました。
 
2024-06-26

 

 

皆様、こんにちは。お久しぶりのブログです。6月28日のOlchingのコンサートまであと2週間ほどとなりました。このコンサートでは思い入れの深いブラームスの1番のソナタを演奏いたしますが、私にとってのブラームス、を今日は少し綴りたいと思います。
日本にいた時からブラームスの落ち着いた、そしてロマンチックな美しい和声の醸し出す音楽は自分の好みにマッチしてすごく好きだったのですが、高校大学でブラームスは「勉強する課題の曲」という構えでの向き合い方でした。コンチェルトでの10度の重音は正しく、特徴的なヘミオレ(強拍がずれたリズム)は強調して、、などなど。
ある時旅行で訪れたドイツ バーデン・バーデンのブラームスの避暑地の別荘(現在博物館)でブラームスがクララ・シューマンに当てた手紙が展示されていました。私は貴重なブラームス直筆の展示物〜!と感激したのですが、横で見ていた女性が「まあブラームスはシャイでロマンチストね~、何回も書き直してて。」と言っていたのです。私はブラームスの手紙を展示物と見、そのドイツ人女性は人間の書いた手紙と見る。そこに大きなショックを受けました。ブラームスの作品をヴァイオリンがうまくなるための「課題」と無意識で捉えていた私は、作品を化石にような歴史的な遺物ではなく、同じ人間の書いた生きている産物としてもっと感覚的に理解を深める必要があると痛感しました。ブラームスの生活したドイツの気候、自然、ブラームスの話したドイツ語、すべてが音楽につながっている。それを理解する必要がある。ブラームスが私をドイツにつなげてくれました。
次のブログでブラームスについて続けて書きたいと思います。
 
2024-06-18

皆様こんにちは。お久しぶりです。ドイツミュンヘン近郊は光さんさんの20度を超す気持ちの良い春の日と、ぐっと気温が7度くらいまで下がる冷〜っとした寒い日が交互に来てまさに4月の波ありお天気です。
今日は6月28日のリサイタルのご案内をさせて下さい。
6月28日19時より、ミュンヘン近郊のOlching(オルヒング)という場所でヴァイオリンとピアノのデュオコンサート開催です。会場はKOMという美しいMühlbach という小川と自然に囲まれたきれいなホールで、ミュンヘンから電車で20分ほど、オルヒング駅からも歩いて来られます。自然と音楽に癒やされる良い時間をご提供できたら嬉しいです。
曲目は前半がモーツァルトのヴァイオリンとピアノのためのソナタホ短調 作品304
ブラームスのヴァイオリンとピアノのためのソナタト長調作品78「雨の歌」
後半が私がソロでイザイのソナタ5番、ピアニストの大平裕貴さんがピアノソロ曲、そして最後にウィエニアフスキーのグノーのファウストの主題による華麗な幻想曲、と華やかなプログラムで締めくくリます。
6月の、爽やかな外が気持ちの良い晩、ぜひ起こし下さると嬉しいです。
チケット、お問い合わせはK&Fコンサートマネージメント
Tel.: 08142 6523 162
までお気軽にご連絡下さい! 日本語も通じます。お待ちしております。

 

2024-04-16

 

6月28日のコンサート会場KOMの写真です。KOMとはKulturwerkstatt am Olchinger Mühlbach の略で、日本語に訳すとミュルバッハ川のオルヒング芸術文化工房、となります。

コンサート会場でもなかなか粋な名前がついていますね。

 
皆様こんにちは。ドイツで演奏活動している山本薫です。今日は、ドイツと日本のコンサート会場事情の違いについて、少し書いてみたいと思います。先日2月20日に東京紀尾井ホールで演奏した時に驚いたことは、照明、舞台音響のレベルの高さでお客様にとって視覚的にも聴覚的にも最高のコンサートになるよう細心の心遣いがなされていたことです。ドイツのコンサート会場、例えばミュンヘンオペラ座は、350年以上の歴史を持ち、2000人以上の観客席で、歴史も規模も最古最大、たくさんのお客様に親しまれていますが、客席によっては舞台が半分以上見えないところもあったり、音響も座る席でバラバラです。お客様は最高の音の質を要求しているというよりは、その場の雰囲気、空間の共有、伝統、社交的な場を楽しむといった趣があります。
演奏家としての私は、研ぎ澄まされた最高の音と舞台を追求し提供する日本のコンサート会場、昔からのクラシック音楽の深い重厚な歴史伝統を重んじるドイツのコンサート会場、この違いをとてもとても興味深く感じ、どちらでの演奏会からも学ぶべきことがたくさんあります。次のブログにドイツでのコンサート会場、少し細かく記述させていただきます。お読みくださりありがとうございました。
2024-03-16

 

皆様こんにちは。久しぶりのブログです。半年ぶりに私は日本に帰国。東京での紀尾井ホールにて、富国生命さま100周年記念企画のチャリティコンサートに出演させていただきました。出演者は、日本を代表するピアノデュオ中井恒仁さん、武田美和子さん、そして私山本薫という2台ピアノ+ヴァイオリンの珍しい組み合わせです。ピアノはこれまた日本を代表するタカギクラヴィアさんの輝かしい華やかな音色のピアノ2台という豪華版!


曲目は、前半はピアノ連弾でバッハのカンタータとスメタナのモルダウ、迫力がありました。私はベートーヴェンのスプリング・ソナタの1楽章と、ウィエニアフスキのグノーのファウストによるファンタジーを演奏。紀尾井ホールの柔らかく遠くまで響く音響でとても気持ちよく演奏させて頂きました。そして中井さんがブラームスのインテルメッツォ、武田さんがリストのカンパネラ、とそれぞれソロをお弾きになりました。お二人の音楽は熟練されてて完璧、聞き手をぐっと惹きつけます。後半は私がソロでクライスラーのレチタティーボとスケルツォを演奏。5分強の短い中に、重音で早いパッセージが細かくもはっきり響いてさらに伸びのある柔らかい音、ウィーン特有の社交的なセンスとリズムと軽さ、など要求されるものの多い曲です。そのため勉強、演奏し甲斐のある曲でもあり、紀尾井ホールで演奏できて幸せでした。
その後は2台ピアノで、ガーシュインのラプソディーインブルー、ドビュッシーの月の光、ラフマニノフのタランテラ、と色の濃い美しいメロディ、技巧的で躍動感あふれる音楽でお客さまを魅了し、最後に2台ピアノとヴァイオリンで三善晃の夕焼け小焼け、と盛りだくさんのプログラムでした。


ドイツのオペラ座やコンサート会場で演奏する機会が多く、伝統を重んじた重厚な雰囲気の舞台では音楽を通じてお客様との一体感を感じることは多いものの、どうしても音響にばらつきがあったりします。全く響かなかったり教会にように響きすぎたり。。ドイツのコンサートでは雰囲気を楽しむのもひとつの醍醐味なのでそれはそれで素晴らしい経験ですが、日本のホールはとにかく音響や照明を細かく吟味されて、心地の良い音を深く追求した素晴らしいホールだと思います。お客様も600人以上来てくださり、企画下さった富国生命の皆様、来てくださったすべてのお客様、中井さん、武田さんに感謝申し上げます。
お読み下さりありがとうございました。

 

2024-02-24

 

 

 

初めてブログに挑戦します。ヴァイオリンの山本薫です。コンピューターにとことん弱い昭和生まれの私は、ずっと今まで紙と鉛筆の生活を送ってきましたが、時代の流れに沿って、これから少しづつ、ヴァイオリニストとして今まで30年ドイツで生活してきたことやこれからの活動をつづってみたいと思います。このブログを開けて下さりありがとうございます。

まず初めに、今年1月1日に起きた能登地震で多くの被害が出た石川、能登の皆様に心よりお見舞い申し上げます。亡くなられた方々に哀悼の意を捧げるとともに、被災されて非難を余儀なくされておられる数多くの方々が、厳しいこの状況の中で、少しずつ前を向いて進んでいかれることをご祈念いたします。

私は富山市生まれ、中学校3年まで、富山で過ごしました。雄大な立山、日本海に囲まれ、自然も食も豊富な富山です。今回の地震で富山も震度5強、大きな揺れと被害がありました。立山に守られて普段地震の少ない場所というイメージが私の幼少期にはあり、遠くドイツで元旦にこのニュースを聞いた時は正直信じられませんでした。

ドイツでも8時間遅れで(時差が8時間あるので)お昼のトップニュースで流れました。ドイツのラジオでは日本でのニュースは、まず「トーキョー」と言ってから読み出すので、いつも東京で何か大きなことが起きたのかと錯覚するのですが、今回は「トーキョー、ノト」と言い始め、耳を疑いました。私の夫はドイツ人ですが、能登は彼の一番のお気に入りの場所。日本に一年に一度行くたびに、能登半島の先端まで毎回行きます。珠洲市の美しい海と山、軍艦島、輪島市の塩田、千枚田、朝市、輪島塗、木々に囲まれた日本家屋、どこも自然の美しさが半端でなく、地震に見舞われたことに大きなショックを受けております。

最初のブログは、まずは能登地震で被災された方々のお見舞いを申し上げるとともに、美しい能登が一刻も早く復旧されること、復旧作業に携われる方々に頭の下がる思いです。そして一刻も早く普通の日々が訪れることを願って、締めたいと思います。お読み下さりありがとうございました。

 

2024-01-30

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